和菓子職人

和菓子職人

和菓子職人の仕事

和菓子職人とは、日本の伝統スイーツである和菓子を専門に作って販売する職業です。

 

この世界は日本文化の職人の世界、行きつく先は匠(たくみ)の技です。そういった意味で、仕事の段取りには陶芸の世界に似た仕来たりや風習があるように思えます。

下積み10年(餡炊き3年、薪焚き5年、得意先への配達2年)、そしてさらに8年(餡練り3年、色付け5年)でようやく半人前。そこから仕上げ細工を10年やって一人前。匠への道はその先にあります。

 

 

 

全国和菓子協会に加盟している和菓子店は日本全国で3000店舗ほどあるといわれますが、その生き残り競争は熾烈を極めています。その主な原因は洋菓子と大型スーパー、そして原材料の価格の高騰です。専門店で作る和菓子が今現在でも順調に売れているのは京都のように観光客が多くて、しかもブランド化されているところだけです。

 

 

今の若者のほとんどはパティシエが作る洋菓子に流れていますし、和菓子を食べる高齢者はスーパーで売っている安いもので適当に満足しています。また材料の値上がりは深刻で、ただでさえ値段が高いという理由で敬遠されている商品をこれ以上値上げしにくいのです。

 

京都に限らず、厳選された食材とそれなりの腕で丹念に作られた和菓子の美味しさは格別です。特に作りたての香りや風味は筆舌に変えがたく、それを一度でも味わった者なら必ず病みつきになります。問題はそういった本物を口にする機会が失われていること。今はかなり厳しい状況にある和菓子業界ですが、この食文化がなくなってしまうことは考えられませんので頑張って続けていれば道はきっと開けることでしょう。


和菓子職人になるには

基本的に学歴は関係ありませんし、資格も必用ありません。ただし、一般的には高等学校を卒業したあと専門学校に進んで国家資格を取得する人が多いようです。専門学校は、日本菓子専門学校と東京製菓学校が有名です。また国家資格には、菓子製造技能士と製菓衛生士があります。

 

専門学校に行くか、直接就職してしまうかは迷うところです。専門学校の意義に関しては飲食業界全般で賛否両論ですが、間違いなく言えることは「学校は丁寧に教えてくれる」ということです。お店や製菓会社に就職してしまったら、見て覚えるしかないのです。

 

菓子製造技能士は1級でもさほど難易度は高くなく、普通に勉強していれば合格します。この資格は就職の際にはあるていど効果を発揮しますが、ないからといって就職後に困るものではなさそうです。一方で、製菓衛生士の資格は独立開業するときに必ず必用となります。

 

 

 

 

まったく畑違いの分野の仕事を辞め、30歳前後で和菓子職人を目指す人たちがいます。そのきっかけとして全員に共通しているのは「旅行先で食べた和菓子に感動した」というもの。そんな単純な発想で和菓子職人の世界に飛び込むのは、あまりにも無謀です。和菓子職人の道はとても細くて険しい。そしてはるかに遠い。しかしそれを知ってもなお諦めない情熱と根性があれば、お店の主人は弟子として迎え入れてくれるかもしれません。

 

自分が気にいった店に飛び込みで就職のお願いをするのは基本的にNGです。まずはハローワークなどで求人情報に目をとおしましょう。

和菓子職人の収入

大きめの和菓子店や製菓会社に勤務した場合、平均年収は300万円。特に有名でもなく、また小規模のお店に勤務の場合は100万円あるかないかといった悲惨なケースもあります。

 

この仕事はとにかく和菓子が大好きな人、和菓子に囲まれているだけで幸せを感じられる人でないと務まりません。なお、独立開業しても特別な才能をもった人でないかぎり従業員時代以上に稼ぐことはできません。


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